昔々あるところに錬金術と狂信者が大嫌いな自称かみさまが旅をしていました。
しかし、目の前に錬金術を使って非道な実験ばかりを繰り返している実験施設があったので、怒りに身を任せて焼き払ってしまったところ、行き場所を失くした人狼の子供と夢魔を拾うことになりました。
独身貴族から急に二児の父親になってしまったかみさまは、とりあえず食い扶持を稼ぐために子供たちと冒険者の宿を訪れました。
そこには故郷を焼かれた挙句、愛しい許嫁が行方不明になってしまった死霊術師がいました。
かみさまは「まあいないよりましだ、頭数を揃えよう」と考えて死霊術師と即席のパーティを組みました。
そのあとなんやかんやあって魔女とその従者が加わり、こうして機工神の縁は結ばれたというわけです。
(とある酒場の吟遊詩人が語るに曰く。)
昔々あるところに贄となるべく育てられた娘がいました。
娘は生きて恋をしたかったので、生まれた場所から逃げ出して冒険者の宿へとやってきました。
そしてそこで出会った眉間の皺の深い医者に心を奪われた娘は、彼が同じく冒険者であることを知り、パーティを半ば強引に組むことにしました。
しかし、お互いに魔術師属性で体力も防御力も紙だったことが発覚したので、知り合いと知り合いの知り合いを呼び寄せることにしました。
これが後に「竜殺しの英雄」を生み出したパーティの、最初の一歩だったと言われています。
(胡散臭い笑みを浮かべた糸目の商人が語るに曰く。)
昔々ある所に国に仕える死人がいました。
ある時、死人の国へ1人の魔女が人探しにやってきましたが、その国に魔女の探し人はいませんでした。
ところが探し人は、死人の仕えている国にとっても、大事な人物だったので、国は死人に魔女を手助けするように命じました。
死人は国の手先となって動く死人でしたから、すぐさま魔女を追いかけて、共に各地を旅する冒険者となったとさ。
(碓水髪のミンストレルが語るに曰く。)